2011年4月12日火曜日

タウン誌「ドロップイン伊勢佐木」④

このタウン誌での思い出は、書き出したら切りがないほどあります。

加盟店の人たちとタウン誌のスタッフが一緒に、千葉の方へ取材に行くことになりました。
ある加盟店のご主人が「朝早いから泊まろう、部屋をリザーブしておくから」と、僕に言うのです。僕21歳、ご主人50歳前後。別に、断る理由はありません。

前の晩、一緒に食事をして、飲み屋をはしご。勘定はすべて、ご主人持ち。ご機嫌で飲んでいたのですが、3軒目に行った最後の飲み屋が問題でした。
カウンターの中も外も、お店の人は全員、女装のゲイ人。男装の麗人なら大歓迎ですが、これには酔いもいっぺんで覚めてしまいました。

奥のボックスに陣取り、ご機嫌なご主人を尻目に、僕はもう寡黙なエトランゼになるしかありません。勧められるままにウィスキーの水割りを1杯、2杯……。

気がつくと、服を着たまま布団に寝ていました。

どうも様子がおかしいのです。ガラス越に見える隣の部屋で、浴衣に着替えたご主人がテレビを見ていました。その部屋には、布団は敷かれていません。テレビと座卓、座椅子が置かれているだけ。

しばらくすると、ご主人がこちらの部屋へやってきました。寝たふりして黙っていると、いきなり布団の中へご主人が——。

嘘のようなホントの話です。

もちろん、僕は飛び起きました。驚いたのは、僕よりご主人のほうだったかもしれません。いきなりガバッと立ち上がったのですからね。

その後、どんな会話があったのか、忘れてしまいましたが、どうしてなのかわからないのですが、ともかく男二人が一枚の布団で寝たことだけは確かです。

それからは一睡もできず、何も起こらず(?)朝を迎えました。

外へ出てみると、そこがいわゆる連れ込み旅館、今で言うラブホテルだったのには、驚きを通り越して、我ながらあきれてしまったのを覚えています。

ご主人は視線を合わせようとはせず、待ち合わせの場所へ歩き出しました。何だったんですかね、この一夜は……。


大学時代のアルバイトでは、つらいこともあったけど、本当に面白いことばかり経験させてもらいました。

初体験はほとんど、この大学時代です。

スナックでバーテンダーもどきのアルバイトから始まり、お中元の配送事務も、港湾労働者も、アンケートの調査員も、電機メーカーのセールスマンみたいなことも、このタウン誌の編集者も、今では懐かしく思い出されることばかりです。きっと、僕にとってのHAPPY DAYSだったからでしょうね。

ノアズブックス 編集長 Hideo K.

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