2011年4月11日月曜日

タウン誌「ドロップイン伊勢佐木」③

アルバイト編集者が、初めて芸能人の取材をすることになりました。
日活ロマンポルノの女優さんが伊勢佐木町の映画館でイベントを行うことになり、その模様を誌面で紹介することになったのです。

いつものように、カメラマンの小山女史に連れられて現場へ向かいました。

地下にある映画館は、まさに満員電車状態。観客は99%、いや100%男性です。
映画館ですから、楽屋などという洒落た部屋はなく、小さな部屋にあるソファーに、ロマンポルノの女優さんが座っていました。

サングラスをかけたミニスカートの女性と清楚な感じの白いワンピースの女性。確か、田中真理さんと青山美代子さんだったと思うのですが、ちょっと自信がありません。

映画の上映が終わり、スクリーンの前の狭いステージに2人の女優さんが並んで立ちました。司会は誰だったのか、まったく記憶にありません。

印象に残っているのは、田中真理さんだけに質問が集中していたことです。青山美代子さんは笑顔を浮かべていましたが、どこか寂しそうでした。そう見えたのは、僕の思い込みかもしれません。

伊勢佐木町のとんかつ専門店に場所を移して取材をしたのは覚えているのですが、どんなインタビューをしたのかまったく記憶にありません。

田中真理さんは言いたいことを言っていたな、くらいの印象しかないのです。

それなのに、名前も不確かなのに、なぜか青山美代子さんのことを記憶しているのは、彼女からお礼の電話をもらったからです。

カメラマンの小山女史が撮影した、青山美代子さんの写真を見せてもらったとき、モノクロームなのに輝いて見えたのです。

小山女史は何かを感じたのでしょう。
次の日、青山さんの写真を大きく引き伸ばしてくれただけでなく、写真で栞(しおり)を作ってくれたのです。感激でした。

そこで、何を思い立ったのか、どうしてそんな行動に出たのか、自分自身でもまったくわからないのですが、その栞を本人のもとへ郵送したのです。21歳の若さ故でしょうね。

会社へ送ったのか、事務所へ送ったのか、自宅へ送ったのか、それさえ覚えていません。何しろ、もう40年近く前のことです。
お礼の電話をもらったことだけは覚えているのですが、あとは記憶の闇に埋もれてしまっています。


こんなこと読まされて、みなさんは面白くないだろうな、とわかっています。でも、書き残しておきたかったのです。僕にとっては、これが編集者の原点だと思うからです。
ひとをHAPPYにするのが、編集者の大切な役目のひとつだと思うからです。

自分がHAPPY DAYSを過ごせたのは、僕の周りにいた人たちのおかげです。過去を振り返るのではなく、未来につなげる何かを見つけたいと思っています。

こんなときだからこそ、明日がHAPPY DAYSになれるよう、みんな元気になれるよう、自分ができることから始めていきます。

ノアズブックス 編集長 Hideo K.

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