2011年6月16日木曜日

浅井愼平さんと制作会社を設立。初仕事は鈴木康博さんのPV

1983年になって、カメラマンの浅井愼平さんから誘われて、南青山で会社を設立しました。社名は「ネットワーク」。
浅井さんと僕のほかには、コピーライターの東倉さん、博報堂の営業にいた星くん、全部で4人の小さな会社です。お互いに初対面で、浅井さんを介しての集まりでしたが、何か面白そうで、楽しそうな会社になる予感がしていました。

最初の仕事は、オフコースを脱退してソロとなった鈴木康博さんのプロモーションビデオ。僕が中学・高校の後輩ということで、決まったわけではありません。
たまたま、ペップ出版の社長だった松崎さんがワニブックスに頼まれて、鈴木さんの本を出したいという話をしにいくことがあり、そのとき「お前も一緒に来てくれ」と言われて、同行したのです。

鈴木さんとは、ペップ出版に入ったとき、ニッポン放送で挨拶したことがあります。「がんばれよ」と励ましてくれたけど、小田さんに挨拶にいったら「あっ、そう」だけでした。同じ先輩でも、こうも違うのか、と驚きました。
小田さんがちゃんと話してくれるようになったのは、ずいぶんたってからです。

その鈴木康博さんが独立して事務所を構えたので、ペップ出版の元社長である松崎さんがワニブックスの横内さんに頼まれ、出版の話をしにいくことになったのです。松崎さんはひとりでは行きにくかったのか、僕に同行してほしいと言ってきました。

鈴木さんの事務所は、青山通りとキラー通りが交差する南青山三丁目の角にあるビルの何階かにありました。階数は忘れてしまいました。
事務所に行くと、鈴木さんとマネージャーの竹下伸一さんが迎えてくれました。竹下さんとは初対面でしたが、終始、難しそうな顔をしていたのが印象に残っています。

和気藹々と話したつもりでいたのに、その日のうちに竹下さんから断りの電話がありました。理由を聞くため、僕はもういちど、竹下さんと会うことにしたのです。
南青山の喫茶店で会って話すと、気難しそうな人だと思っていた竹下さんが、じつは熱き心を持った好青年だったのです。すっかり意気投合。

出版の話は実現しませんでしたが、もっと面白い仕事の話が竹下さんから持ち上がったのです。鈴木康博のプロモーションビデオ(PV)を作りませんか、と。
僕がカメラマンの浅井愼平さんと会社を作ったばかりだ、と知った竹下さんが、鈴木さんを口説いてくれたようなのです。竹下さんははっきり言いませんでしたが、どうやらそうらしい。

ソロデビューの記念すべきアルバム「Sincerely」のプロモーションビデオを作ることになり、創設したばかりのネットワークは、いきなり大騒ぎです。
早速、浅井さんに報告したら、自分が撮影すると言います。時間があまりありません。コピーライターの東倉さん、営業の星くんと三人でミーティングして、撮影場所をハワイに決めました。

「Sincerely」をかけながら、竹下さんをまじえて打ち合わせを重ねた結果、キラウエア火山で有名なハワイ島で撮影することが決定。
最初の宿泊地は、ハワイ島のコナ。とにかく朝から夜まで、ハードスケジュールな撮影がつづきました。僕にとっては、初めて経験することばかり。やはり、写真集の撮影とは違います。

浅井さんがレギュラーを持っていたラジオ番組に、鈴木さんがゲストで出演するということで、コナのホテル前のビーチで録音をとることになったのです。
なんと、録音機材をもって仕事をしたのは、初体験の僕です。放送局であるFM東京のスタッフから頼まれて、僕が録音することになってしまったのです。

なにしろ風が強くて、僕はヘッドホーンをつけて録音しているからわかるのですが、風の音が半端ではありません。マイクを上手に使わないと、風の音で、ふたりの話す声が聞き取りにくくなってしまいます。素人の僕はもう、冷や汗でびっしょり。
なんとか録音終了となりましたが、僕の様子がおかしかったのか、様になっていたのか、理由はよくわかりませんが、東倉さんにニックネームをつけられました。マイク、と。

ハワイにいる間はもちろん、帰ってからも、しばらくは「マイク」と呼ばれていました。冷や汗ものの初仕事でも、めちゃくちゃなハードスケジュールでも毎日がHAPPY DAYSのコナでした。
ロケはまだつづきます……。

ノアズブックス 編集長 Hideo. K

0 件のコメント:

コメントを投稿